第 3 章 イーサネット・デスクトップ・ハブのトラブルシューティング

この章では、イーサネット・デスクトップ・ハブとその接続に 関する問題のトラブルシューティングに役立つ手順を説明します。


トラブルシューティング・プロセスの開始

イーサネット・デスクトップ・ハブに接続した 1 つまたは複数の 装置 (パーソナル・コンピューターなど) がネットワーク内の他の 装置と通信できなくなった場合は、次の手順を使用して トラブルシューティング・プロセスを開始します。

  1. 装置の接続先のハブを見付けます。 ハブを見付けるには、ネットワーク・スケッチ、 装置に接続されている 10BASE-T ケーブルのラベル、 あるいはその他のネットワークに関する記録を使用します。

  2. 前面パネルの LED を見ます。 図 12 に LED が図示されています。 (このトラブルシューティング・プロセスを続行する前に LED の説明を調べる場合は、 "LED の解釈"を参照してください。)

  3. 表 2 で、通信に関する問題、および観察した LED パターンに もっともよく当てはまる症状を見付けます。次に、問題を解決するための 推奨処置が記載されているセクションに進み、その手順に従います。

注:

  1. イーサネット・デスクトップ・ハブには、修理可能な部品はありません。 ただし、ハブが故障していると考えられる場合は、 本製品のサービスに関する情報、 付録 A. 特記事項を参照してください。

  2. リンク・セグメントとは、イーサネット・デスクトップ・ハブ の 10BASE-T ポートともう一方の端の装置との間の 1 本のケーブル、 または相互接続されている複数のケーブルを指します。 リンク・セグメントには、1 本のストレート・ケーブル、1 本の クロス・ケーブル、または建物内配線 (壁の中のケーブル) に接続された ストレート・ケーブルが含まれます。

図 12. IBM 8242 イーサネット・デスクトップ・ハブの LED


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表 2. 症状、LED の状態、および推奨処置
症状と LED の状態 参照箇所
イーサネット・デスクトップ・ハブに接続されているどの装置も 通信できず、どの LED もオンになっていない。 "手順 A"
イーサネット・デスクトップ・ハブに接続されているどの装置も 通信できず、電源 LED がオンになっている。 "手順 B"
イーサネット・デスクトップ・ハブに接続されている 1 台の装置の通信に 問題があり、LED の表示はすべて正常。 "手順 B"
10BASE-T 区分 LED の 1 つがオンになっている。 "手順 B"
10BASE-T リンク/アクティビティー LED がオフになっており、 装置がそのポートに接続されている。 "手順 B"
ハブに接続されているすべての装置の通信が遅く、 衝突 LED がオンになっている。 "手順 C"
装置が AUI ポートに接続されており、AUI 区分 LED がオンになっているか、 装置が 10BASE-T ポートに接続されており、そのポートに対するアクティビティー LED が オフになっている。 "手順 D"

手順 A

ハブに接続されているどの装置も通信できず、どの LED もオンになっていない 場合は、次の手順を使用します。

  1. 電源コードまたは電源機構が両端に接続されていることを確認し、 電源コンセントをテストして電力が供給されているかどうか検査します。

  2. 電源コードまたは電源機構が正しく接続されており、 コンセントが機能している場合は、ハブに問題があります。購入先に ご連絡ください。

手順 B

ハブに接続されているどの装置も通信できず、電源 LED がオンになっている 場合は、この手順を使用します。

  1. 電源コードを切り離し、電源コンセントに再接続することによって、 ハブをリセットします。

    1. 問題が解消した場合は、これ以上の処置は不要です。

    2. 問題が解消しない場合は、ステップ 2 に進みます。

  2. リンク・セグメントが接続されているそれぞれの 10BASE-T ポート のリンク/アクティビティー LED と区分 LED を見ます。

    1. リンク/アクティビティー LED がオフになっているか、 区分 LED がオンになっている場合は、ステップ 3 に進みます。

    2. 接続されているポートのリンク/アクティビティー LED が すべてオンになっており、区分 LED がすべてオフになっている場合は、 ステップ 4 に進みます。

  3. リンク/アクティビティー LED がオフになっているか、 区分 LED がオンになっている 10BASE-T ポートのそれぞれについて、 次の手順を実行します。

    1. リンク・セグメント内の各ケーブルが両端で接続されていることを 確認します。10BASE-T ケーブル・コネクター (RJ-45 プラグ・コネクター) が 10BASE-T ジャック・コネクター (あるいはイーサネット・デスクトップ・ハブ、 10BASE-T アダプター、建物内配線のフェースプレート、またはパッチ・パネル) に 挿入されると、カチッという音がします。

      ハブから反対側の装置までのリンク・セグメント内のそれぞれのケーブルを 必ずチェックしてください。建物内配線 (壁の中のケーブル) の接続を十分注意して チェックしてください。

    2. リンク内で使用した 1 つまたは複数のケーブルと、両端の装置と を合わせたクロスの数が、奇数であるかどうか検査します。 ほとんどの接続にはストレート・ケーブルが使用されますが、 そのポートから必要な奇数のクロスがあるかどうか調べます。 クロス機能の詳細については、 "別の 10BASE-T ハブへのイーサネット・デスクトップ・ハブの接続"または "リンク・セグメント内のケーブルの種類"を参照してください。

    3. リンク・セグメント内の各ケーブルが正常であるかどうか検査します。 ケーブル・テスト用機器がない場合は、ケーブルを欠陥のない 正しいタイプのケーブルに交換します。

  4. イーサネット・デスクトップ・ハブが別の イーサネット・デスクトップ・ハブ、または別のタイプの 10BASE-T ハブに 接続されている場合は、次の手順を実行します。

    1. 別のハブが正常に動作しているかどうか検査します。

    2. 2 つのハブを相互接続しているケーブルが 1 本だけであるかどうか検査します。

  5. モデル 016 が 10BASE5、10BASE2、または 10BASE-F のトランシーバーに 接続されており、ハブに接続されているどの装置もネットワーク内の 10BASE5、 10BASE2、または 10BASE-F の部分と通信できない場合は、 "手順 D"に進みます。

  6. 通信に関する問題のあるそれぞれの装置について、 ハブにある別の 10BASE-T ポートに装置のリンク・セグメントを接続します。 問題が解消したかどうか判別するために、残りのポートをそれぞれ試します。

    1. 問題が解消した場合は、ハブに問題があることが考えられます。 購入先にご連絡ください。

    2. 問題が解消しない場合は、ステップ 7 に進みます。

  7. 通信に関する問題があるそれぞれの装置について、 装置の 10BASE-T アダプター (NIC と呼ばれる場合もあります) のリンク LED が オンになっており、リンク・セグメントが接続されていることを示している かどうか検査します。

    1. リンク LED がオンになっている場合は、ステップ 8 に進みます。

    2. リンク LED がオフになっている場合は、アダプターに接続されている ケーブルを、欠陥のないケーブルに交換します。

    3. リンク LED がまだオフになっている場合は、アダプターが 原因で装置がネットワークと通信できなくなっていることが考えられます。 診断を実行してアダプターをテストしてください。

    4. アダプターにリンク LED がない場合は、アダプター診断を実行します。

    5. アダプターを欠陥がないことが分かっているものと交換します。 問題が解消しない場合は、ステップ 8 に進みます。

  8. ネットワーク・オペレーティング・システムの資料を 参照して、ネットワーク・ソフトウェアが正常に動作しているかどうか 検査します。また、ネットワーク管理者に相談してこのプロセスの 援助を得ることもできます。ネットワーク・ソフトウェアにエラーを 検出しなかった場合は、ステップ 9 に進みます。

  9. イーサネット・デスクトップ・ハブに問題があると 考えられます。購入先にご連絡ください。

手順 C

ハブに接続されているすべての装置の通信が遅く、衝突 LED がオンに なっている場合は、AUI ネット・ポートの通信量が多くなっています。 ハブは正常に動作しています。

問題が解消しない場合は、ネットワーク (単一の衝突ドメイン) を 複数の衝突ドメインに分割し、ブリッジまたはルーターを使用してドメインを 接続することを検討してください。衝突ドメインの説明が必要な場合は、 "ネットワークの制約"を参照してください。

手順 D

装置が AUI ポートに接続されており、AUI 区分 LED がオンになっているか、 装置が AUI ポートに接続されており、そのポートに対するアクティビティー LED が オフになっている場合は、この手順を使用します。 また、"手順 B"からここに進んだ場合も、この手順を 使用します。

  1. ケーブルがリンク・セグメントの両端でしっかり接続されており、 両端のリンク LED が点灯しているかどうか検査して、接続を確認します。

  2. AUI ケーブルが正常であるかどうか検査します。

    AUI ケーブルがイーサネット・デスクトップ・ハブをトランシーバーに 接続している場合は、ケーブルを欠陥がないことが分かっているものと交換します。

    次に、トランシーバーを欠陥がないことが分かっているものと交換して、 トランシーバーの状態を検査します。

  3. AUI 区分 LED がオフになっている場合は、ハブに接続されている 装置が相互に通信できるかどうか検査します。

  4. 問題が解消しない場合は、イーサネット・デスクトップ・ハブに 問題があることが考えられます。 購入先にご連絡ください。

修理を依頼する前に

コンピューターの問題の多くは、 WWW の情報やイーサネット・デスクトップ・ハブに 付属の印刷資料を使用することによって、他からの援助なしに 解決することができます。

WWW にあるイーサネット・デスクトップ・ハブに関する IBM Networking Support ページには、仕様、公表データ、資料 (英語版および翻訳版)、 その他の関連資料などの、技術的なヒントや製品情報が掲載されています。

IBM Networking Support ページのアドレスは、次のとおりです。

http://www.networking.ibm.com/support/8242

電話による援助

保証期間中は、IBM PC Helpcenter に電話することによって、 援助や情報を得ることができます。 IBM 販売店 または IBM 営業担当員にお問い合わせください。


追加サービスの購入

保証期間中および期間後に、IBM オンサイト修理 (IOR)、 IBM および IBM 以外のソフトウェア、ネットワークのセットアップと構成、 アップグレードまたは拡張したハードウェアの修理サービス、および カスタム導入などの追加サービスを購入することができます。 サービスの有無とサービス名は、国によって異なる場合があります。


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